自宅のベッドで最期を過ごしたい! 病気があっても家で暮らしたい!在宅療養・介護のはなし

介護保険制度を利用し病気を抱えながらもご自宅で生活されている方も多くなっています。「最期は自宅のベッドで愛する人に囲まれながら逝きたい」をどうやったら実現できるか、ケアマネージャーとして訪問看護師として考えていきます。

【レポート】オランダ発の訪問看護。オランダのシェア70%を誇る急成長の訪問看護とは。「自分のことは自分で」を促す玉ねネギモデル。

オランダ発の訪問看護。オランダのシェア70パーセントを誇る急成長の訪問看護とは。「自分のことは自分で」を促す玉ねぎモデル。

 

 

久しぶりの更新となってしまいました。

 

記事を書く以外の活動が一気に増えてしまい、

ちょっとバタバタしていました。すみません!

 

 

たくさんの勉強会やセミナーなどに行かせていただいていますが、

今回は、1127日に行われた、

~オランダの在宅ケアから学ぶ~考えよう!自分らしく暮らすまちづくり 

 

セミナーに参加させていただきました。

 

今回はセミナーの内容や訪問看護のこと、地域をつなぐコミュニティの力についてお話ししていきます。

 

 

 目次

 

 

病気があっても自宅に帰りたい!

家で最期を過ごしたい!

退院したい!と思っている患者さまを1日でも早く、

ご自宅で安心して過ごせるようにしたい

訪問看護師 ケアマネージャーの西山です!

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ビュートゾルフ(Buurtzorg)とは

 

 

ビュートゾルフ(Buurtzorg)とは2006年にオランダで始まった、地域看護、訪問看護事業で、看護師たった4名でスタートしています。現在は10000人のスタッフが900ものチームでサービスを行っているお客様満足度、スタッフ満足度とのにナンバーワンの企業となっています。オランダの在宅ケアの7割を占めています。

https://www.mizuho-ir.co.jp/publication/contribution/2016/kokushinkyo1611-care_01.html

 

セミナーはこのビュートゾルフの創立者である、

看護師のヨス・デ・ブロックさんをお迎えして行われました。

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会場には、訪問看護師を始め、地域の介護サービス事業者の方々や地域の方々も参加されていました。

 

 

ヨス氏のお話より抜粋

 

「ホームケアのベストを届けたい。最高、継続的、高クオリティ。3本柱でやってきた。」

 

玉ねぎモデル

利用者さんを中心に、

家族、兄弟、近隣の人、地域の人、

公的なサービス(医師、看護師、介護士など)

ボランティアなどの地域のインフォーマルサービス

と言った形でまるで

玉ねぎのようにその人を囲んでいる考え方で、ケアプランを立てています。

また、オランダの国民性もあり、できるだけ自立して生活することを望んでいることを活かしています。

 

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【オランダの在宅ケア組織『ビュートゾルフ』と玉ねぎモデル】... - 地域リハビリテーションネットワーク | Facebook

 

「患者の歩んできた人生がどうか、何が大事かを考慮する。」

 

また、ヨス氏はこう続けました。

「看護師は患者の信頼をもらいわないといけない。看護師自身がどうやって生きてきたかが大事。看護師としての医療面の情報だけではなく、その人の生き方、社会性も大事」

 

患者がどうやって人生を歩んできたのかを知ることでセルフマネージメントをどうしたらいいのか、

何を手伝うのか、どんなサポートしていくか。

 

これは、相手がどんな人か知ることがとても大切であると、私も思っています。

 

 

患者さんは、

 

何に価値を持っているのか、

 

どうやって困難なことを超えてきたのか、

 

戦争を経験しているとか、

 

大切にしていること、

 

好きな食べ物など

 

どんな仕事をどうやってしてきたのか、

 

家族との関係はどうなのか、

 質問は多岐にわたります。

 

もちろん一気に質問するわけではなくて、

ちょっとした雑談から、これらのことを知ります。

 

そして、どうやってこの問題

(病気を抱えながら自宅で生活していく上で、クリアーしないとけない問題)を解決していけるのかを考えます。

 

 

「インフォーマルのネットワークなどの人脈をつかむことも必要。ビュートソルフも地域のための看護ケアをしている。ボランティアがどうか、近所の人はどうか、手伝ってくれるか。大事な情報。」

 

 本当に孤立していない限り、ご近所さんとの関係、協力体制も大事ですね。

孤立していることの方が問題もありますが。

 

 

実際に、私が、熊本地震で体験、体感したことですが、

避難した際は、ほぼ90%以上は近所の人の助けで無事に避難しています。

 

私自身も隣の人が玄関のドアを開けてくれたので、

荷物が散乱した玄関からスムースに脱出できました。本当に、住んでた方には感謝でした。



日本ではボランティアグループが近くにないことも多いですが、


民生委員、婦人会消防団などの活動など地域の力を集めているところがあります。

 

そことの協力を得ていることが家で療養している場合、心強いと思います。

 

 

 

 

 

「看護師にとって魅力的な環境を作っていれば、いい看護師が集まってくると思っていた。」

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看護師の働きやすい環境と作っているのも特徴の一つです。

 

実際、2006年から看護師4人から始まったが現在は1万人の看護師、セラピスト、ケースワーカーたちが働いています。

 

これはすごい!ですね。

 

看護師が楽しく働いているということは

患者さんとの関わりでも伝わってくると思います。

 

上司や管理者はいない、横並びの関係でチームを作っているそうです。

 

 

 

 

「利用者当たりのコストはほかの在宅ケア組織の約半分と、効果的かつ効率的なケアへの社会的支持が集まり、オランダの制度にも影響を与えています。」

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自立を促すことそのものが、

患者さん本人のためになりますし、

介護されることが減ってくるのは介護に当たっている家族にとてもいいことです。


単純にサービスが少なくなれば、

払う介護サービスの自己負担のお金も減らすことができる訳です。

国や市町村の介護費の節約にもなるので双方にとっていいですね。

 

 

今後、日本でも2018年医療・介護保険の同時改定が行われます。

介護度を減らすために関わりをしていくことが求められていますので、

この玉ねぎモデルでの自立を促すことが介護度の減少に繋がるのは

とても素晴らしいと思います。

「できることは自分でする。」当たり前のことなんですが、病気や体の具合でもそれができなくなってしまい、いつしか手伝ってもらうことが当たり前になってしまわないようにしたいですね。

 

まとめ

 今回、ビュートゾルフについて、私も初めて知りました。また色々調べました。日本ならではの文化ややり方がある一方で、オランダのビュートゾルフの考え方を混ぜながら行う訪問看護についてますます興味が湧いてきました。
 患者さんが自立に向かうための関わりはとても大切です。なぜなら、人間としての尊厳を守るためにも、自分のことは自分でするという当たり前のことを置き去りにし、ただ、できないことをし続けていては、患者さん本人のためにならない、家族、介護者の負担になるだけです。私たち看護師やケアマネージャーもその視点が大切ですね。

 

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