自宅のベッドで最期を過ごしたい! 病気があっても家で暮らしたい!在宅療養・介護のはなし

介護保険制度を利用し病気を抱えながらもご自宅で生活されている方も多くなっています。「最期は自宅のベッドで愛する人に囲まれながら逝きたい」をどうやったら実現できるか、ケアマネージャーとして訪問看護師として考えていきます。

【退院時支援】安心して過ごせるように退院する前に実際に自宅を訪問して、療養環境を整えるために家屋調査をしています。

【家屋調査】

 

 退院して自宅で療養するための準備の中で「家屋調査」というのがあります。
ご自宅で安心して過ごせるように自宅の療養環境を整えるのは看護師として大切な仕事です。これはケアマネージャーさんとも協力しながら病院の看護師さんや訪問看護師が一緒になって療養環境を整えます。
 今回は、この家屋調査について、どのように行なっているのかをレポートします。

 

病気があっても自宅に帰りたい!

家で最期を過ごしたい!

退院したい!と思っている患者さまを1日でも早く、

ご自宅で安心して過ごせるようにしたい訪問看護師、ケアマネージャーです!

 

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家屋調査とは

 

 

 退院する前に自宅で療養を続けていける環境かどうかを目的として調査します。
調査といっても難しい計測などをする訳ではありません。
実際の家屋の様子を見せていただき、ベッドの位置はどこにしたほうがいいかなどを決めたり、福祉用具(車椅子や歩行器、ポータブルトイレ)の選定をします。

 

この家屋調査は病状や障害の程度で実際に行うこともあるし、行わないこともあります。

また病院によってもまちまちです。

特に大きな大学病院や基幹病院では患者数が多く、実際に必要は感じているものの行えていない病院もあります。

 

実際の家屋調査に立ち会って

私が実際の家屋調査に立ち会った時のことをお話しします。

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 先日、ケアマネージャーとしてある方の退院調整に向けて家屋調査に同行させていただきました。

Mさんは血液疾患のある方で、抗がん剤を定期的に行いながら、貧血などに対して輸血を行なっていました。

 

今回は体力が回復し始めていること、入院が長くなってしまっていること、Mさんも自宅に帰ってゆっくりしたいという希望があり、退院すること方向が決まりました。

 


体力は回復したとはいえ、
70代と高齢で、リハビリがまだまだ必要でした。
長期の入院で足腰が弱くなってしまい自力での歩行が困難で車椅子を主に使用していました。

 

 


家族は離婚した妻と2人の娘がいました。一人暮らしです。

 

 



 今回退院するにあたり、Mさんは引っ越しを決めました。今までの賃貸アパートは2階で自力でその階段を登り降りすることができませんし、エレベーターもないからです。

 

 

家屋調査には、Mさんご本人、病院の地域連携室のスタッフ、病院の理学療法士さん、病棟の看護師さん、福祉用具レンタルの業者さん、ケアマネージャーの6人で一緒に行きました。

 

 家屋調査は車を降りたところから始まっています。



まず、玄関までのアプローチ。段差があれば車椅子がスムーズに通れません。
また庭が土の場合や砂利の場合でもどうやって車椅子を押すのかなど、小さな段差なら車椅子が通れるか、介護者が押した場合と、本人が漕いだ場合でもその段差を超えられるかなど、実際にやってもらいながら確認していきます。

 また、段差を解消するためにスロープを置くことができますので、段差の高さがどのくらいあるか、メジャーで測ったりもします。

 



そして、玄関から中に入る時はどうか?
ここでもほとんど段差がありますので、同じように調査します。


 

 さあ、実際に患者さんが帰ってきてどこでどのように過ごすかです。


今まで床に布団で寝ていたとしたら、現在の筋力では床から立ち上がることができませんので、ベッドが必要かもしれません。

そのベッドをどこに置くのがいいのか。

昼間はリビングで過ごしたいのか、ベッドで横になっていないといけないのかなど生活のスタイルによっても違いがあります。

 

もう一つ、トイレとベッドの距離も大切です。一日に数回通うトイレです。体力がないなら、やはりトイレに近いほうがいいかもしれませんね。



もちろん、今まで行っていた生活習慣や1日の過ごし方にも注目しています。

体の具合が悪くなる前の生活スタイルの近づけることは言うまでもありません。

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 お風呂、トイレはどうか。手すりがついているのか。
ついていればそれを利用して浴槽をまたげるのかどうか。

車椅子からシャワーチェアーに移動できるかどうかなども確認します。

 病院の理学療法士さんが同席してくれているので、Mさんがどのくらいの筋力を持っていて、この動作で転ばないで行うことができるかどうかを判断してくれるのでとても頼りになります。

 特に自分で立つことができない、歩けないと言う方は病院ではできている動作も
自宅ではどうやったらいいかを確認してもらうのはとても大切です。勝手が違うとできないことも、たくさんありますね。


 実際に自宅でしてもらって動きを確認できますので、退院までの間で、不足している動作などを練習することができるメリットもあります。

 

 

自分で簡単な食事の支度をしたいMさん。車椅子でキッチンに立てるかどうか確認に真剣です。本人も一緒に行くことで退院の生活のイメージが持てるので、ご本人のやる気につながります。

 

 

 高齢者向けの住宅に引っ越しましたので車椅子の大きさ(横幅がドアを通るかなどは重要)を決めたり、お風呂の椅子を準備して自宅でシャワー浴をすることができるかどうか確認しました。退院してすぐではなく、生活動作に慣れてきてから自宅での入浴を行い、退院してすぐはデイサービスで入浴は行うことに決めました。

その後は体調に合わせて、サービスは調整することにしました。

 

退院が楽しみですね。 

 

 

 

~どうか介護、在宅療養のことで悩まないで~

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