【勉強会レポート②】緩和ケア勉強会〜患者サポートセンターにおける支援の実際〜
前回に引き続き、基幹病院での緩和ケア勉強会での学びをレポートしようと思います。前回は退院支援の3段階プロセスを紹介しました。
これを踏まえて、実際の事例を取りげます。
病気があっても自宅に帰りたい!
家で最期を過ごしたい!
退院したい!と思っている患者さまを1日でも早く、
ご自宅で安心して過ごせるようにしたい訪問看護師、ケアマネージャーです!
私の感じた学びを紹介します。
事例検討
がん患者さんの死に至るまでの経過
死に至るまでの経過を簡単に説明します。
・認知症や老衰の場合は長期間わたり徐々に機能低下していくため経過が緩やかな特徴があります。
・心臓や腎臓、肺などの慢性疾患の経過は徐々に低下するのとともに時々、風邪にかかるなどをきっかけに、急激に病状が悪化して死を意識することも経験しながら経過をたどります。
・がん患者さんは死亡の数週間前までは機能は保たれており、病状は悪化してきていますが、日常生活の自分のことは自分でできる状態から、急速に機能低下していく特徴があります。
ですので、がん患者さんは本人、家族は機能が低下して、介護が必要になることのイメージをなかなか持てず、支援を受け入れられない現状があります。
事例 脳梗塞後の胃がんの患者さん
60代の男性、脳梗塞の後遺症で右半身麻痺があり、要介護2の認定を持っていたサービスはベッドなどの福祉用具以外は利用していなかった。仕事を生きがいとして、右半身麻痺はあったが続けてこられていた。今回胃がんを患い、手術、その後、抗がん剤治療を行ってきた。副作用により食べることができず、胃に直接流動食を入れられる胃ろうを造った。家族は同居している妻、独立している娘がいた。
今回の事例では、
一貫して、ご本人、家族とも家に帰りたいという希望があった。これは仕事を続けたい思いがあり、抗がん剤での治療費の心配があったのかもしれません。
胃ろうを造った時点で退院して、管理や方法を見てもらうために訪問看護ステーションが入っていた。その後自分たちで胃ろうの管理ができるようになったので訪問看護は終了となった。
・1回目の入院では骨転移により痛みが出てきており、入院となった。訪問看護の必要性を医師から説明され、再び同じステーションへ訪問看護を依頼した。
・2回目の入院では、骨転移での痛みが増強し、我慢できず入院となった。医師から訪問診療を入れることを勧めたが、動けなくなったら入院したい思いがあった。訪問看護の継続。訪問診療の話もあったが、家族や本人は病院への通院を希望した。
・3回目の入院では再び痛みが我慢できず、今回は訪問診療を使って家でも痛みのコントロールができるように勧めた。しかし、妻は訪問診療を自ら断ってしまった。
その度に必要性を説明し、情報を提供していたが、うまくいかなかった事例として紹介していました。
「どんなに言葉を尽くしても・・・」
患者さんの、家族の思いは
『最後まで治療をしたい。まだ動けるのにどうして訪問診療を勧められるのかわからない。』
医療者の思いは、
『(積極的な治療は難しい)近い未来、病院へ来ることが難しくなることがわかるから、家で安定して過ごしていけるように、痛みをが我慢して過ごすことがなように痛み止めの調整をしてほしい。 』
色々な情報を示したり、話し合いの時間を設けたが、双方の思いは重なりませんでした・・・
私が感じた学んだ まとめ
この方は訪問看護ステーションが退院後から関わっていたにもかかわらず、痛みが我慢できなくて入院となっています。しかも2回ともです。
疑問???
訪問看護は何をみていたの?
本人が最後まで治療を続けたい思いがあり、この基幹病院への通院を希望しています。
ですので、訪問看護は基幹病院の主治医と密に連絡を取り、
痛みのコントロールを自宅でできる限りすることが必要だと思いました。
痛みの評価を毎回の訪問で行えていたのか。
痛いと正直に言える人間関係が築けていたのか。
医療者として、人と人の関わりをおろそかにしては、本当に目の前の患者さんを救うことをはできないと思います。
やはり、人間関係がとても大切だと思いました。
本当にその患者さんの家族のニーズに応えてられているか考えるのが大事ですね。
私はきちんと患者さんと向き合えているのか、本当の思いを聞いているのか、心を許してくれているのか・・・
自問しながら、今日も訪問看護の現場に全力です!!
~どうか介護、在宅療養のことで悩まないで~
介護のこと、自宅療養のこと、病院の看護師さんとの関わりで困ったこと、悩んでいること・・・反対に嬉しかったことお聞かせください。
私で答えられることは何でもお返事したいと思います。コメントお待ちしています。