自宅のベッドで最期を過ごしたい! 病気があっても家で暮らしたい!在宅療養・介護のはなし

介護保険制度を利用し病気を抱えながらもご自宅で生活されている方も多くなっています。「最期は自宅のベッドで愛する人に囲まれながら逝きたい」をどうやったら実現できるか、ケアマネージャーとして訪問看護師として考えていきます。

【在宅療養】薬カレンダーを用意してもちゃんと飲んでくれない時のあの手この手の話

【内服の管理】

 

病気の安定のため、症状の緩和のために大切なのがお薬です。

 

お家でのお薬の管理ってどうしていますか?

 

前回、お薬カレンダーを利用すると管理しやすいという話をしました。しかしこのお薬カレンダー、ただ分けていても飲んでもらえないことがあります。

 

お薬カレンダーにまつわる失敗談をお話しします。

 

 

病気があっても自宅に帰りたい!

家で最期を過ごしたい!

退院したい!と思っている患者さまを1日でも早く、

ご自宅で安心して過ごせるようにしたい訪問看護師、ケアマネージャーです!

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お薬カレンダーに分けたら終わりじゃない

 

 私が担当していたSさんは、まもなく90歳を迎える高齢で6歳年下の弟さんと2人暮らしでした。

慢性腎不全と気管支喘息をお持ちでしたので、内服をしっかりすることがとても大切な方でした。

 

入院中は看護師の指導のもと、お薬カレンダーを病室のベッドの脇にかけ、食後に飲むという方法で管理していました。

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退院前から、この方法で十分練習し、ほとんど見守りでできるようになったということでおうちに帰ってらっしゃいました。

私は退院してから訪問看護でSさんのお宅に行くことになりました。

 

訪問看護の目的は…

 

 病状の観察(症状が出ていないかなど異常の早期発見)

 お薬の管理

 退院後で生活に慣れるためのリハビリ

 

といったところです。

 

週に1回60分の訪問でお薬を分けたり、リハビリを行っていました。

 

お薬カレンダーは入院時からも利用していましたので、確認だけでも十分かな思っていたのですが…

しかし、朝起きるのが遅いのに加え家に帰ってきてホッとしたのか、
薬を飲まないではありませんか。

訪問のたびに薬がカレンダーに残っているのが気になります。

 大抵、本人は飲んだとおっしゃいますが(笑)

 

カレンダーは一目瞭然、飲んでいないことがわかってしまいます。

 

こんなSさんでも、きちんとしていて、
飲んでいないことが気まずいようで、
訪問するとカレンダーはほとんどなくなっているのですが、

 

居間の仏壇の引き出しに、大量の薬が入っていることが発覚するのです。

 

高齢のご兄弟ですので、弟さんにお薬を飲むように言ってくださいとお願いしてもほとんど期待できません。

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そこで、

きちんと飲むまで習慣化できるように考えたのが…

 

 訪問回数を増やす作戦!

→ほとんど毎日訪問されるのは嫌だ。

 一週間で断念となった

 

毎日電話で飲んだか確認する作戦!

→そのうち電話に出なくなった。

 2週間ぐらい。

 

続いて…

 

病状の変化はないから見守り作戦!

 

→こっそり(ちゃんとケアマネージャーさんとご本人との相談して)
訪問回数を週2回に増やし、デイサービスにも週2回言っていたので週の半分はきちんと内服が飲めることを確実にする。

 

 

 

 

これが、このSさんの最善策となりました!

 

週に4日でもきちんと内服が飲めるので

おかげでほとんど病状は変化なく過ごせるようになりました。

 

本当はよくないことかもしれませんが、0よりは1、1よりは4です。

 

 

 

 まとめ

このように、入院中にできていたからと言って、
ただ、準備していればできるというわけではないこと、療養生活を支えてくれる家族や介護者がいるか、ご本人の能力はどうか?などを合わせて考え、支援する必要があります。特に高齢者夫婦世帯や認知症の方、一人暮らしなどでは支援してくれるマンパワーが不足します。介護保険サービスを上手に利用していくことや他の手立てを考えることがとても大事です。真剣に向き合えば向き合うほど課題が出てきたりするので、在宅は一筋縄でないかないところもあります。しっかりとした専門職の支援も大切ですので、

困りごとを抱えずに話してみてほしいです。

 

~どうか介護、自宅療養のことで悩まないで~

介護のこと、自宅療養のこと、病院の看護師さんとの関わりで困ったこと・・・私で答えられることは何でもお返事したいと思います。コメントお待ちしています。