【自宅に帰ろう体験談】脳にがん転移があった奥様を自宅へ連れて帰った旦那様の介護のはなし。②在宅生活編
【在宅看取り】
病気があっても自宅に帰りたい!
家で最期を過ごしたい!
退院したい!と思っている患者さまを1日でも早く、
ご自宅で安心して過ごせるようにしたい訪問看護師、ケアマネージャーです!
小林麻央さんの死を受け、今、在宅看取りについて皆さんと考えていただきたいと思っています。
今日は、先日の続きの話です。いよいよご自宅での生活が始まりました。
退院当日も訪問看護などのサービスが使える
退院して自宅に到着と同時に、訪問看護師さんをお願いしていました。
これは、訪問看護の退院支援指導加算というサービスで、退院したその日に訪問看護が受けられます。
自家用車から降りる動作がよくわからず、不安なため、手すりを握ったままでなかなか手を離さないなど、お部屋に誘導するのも大変だったそうです。
奥様にとっては住み慣れた我が家も庭も
脳転移の影響で、よくわからない場所という認識があったのかもしれませんね。
訪問看護師さんに、一通りの生活の動作の確認や注意しないと危ないところ(小さな段差など)ほかに薬や病状のことなどを確認してもらいまし
た。
60分ほどの訪問でした。
訪問看護は翌日から週2回の訪問と24時間の緊急対応をお願いしました。
病状の進行は思っていた以上に早く・・・
病院と同様にズボンの上げ下げを手伝うとトイレに歩いて行って用を足せると思っていましたが、
脳転移の進行で認知症のような状態になり、
実際は手すりを強く握ったままでトイレに座れないなど、
介護としてはつらい状況でした。
数日後、旦那様から電話を受けました。
「おしっこにいかなくてベッドを汚してしまったよ。座らせようとしてもなかなかうまくいかないし、トイレに行かせるのも一苦労、よくわからない」
話を聞くと、
部屋のトイレまで何とか歩いていくが、便器に座らせることが難しい。
おしっこが出ない時があるので、タイミングがわからない。
これらの原因でベッドを汚してしまうことになったようでした。
明らかに病院にいた時よりも病状は進行していました。訪問看護は週2回と2週間に1回の外来で身体の状態を診てもらっていました。
旦那様はいろんなことを覚悟していました。
よく「ようわからん。だんだんわからなくなるんでしょ?」とおっしゃっていました。
「大変・・・」と言っていつもはにかんでいました。
寂しそうな笑顔でした。
家族は、息子夫婦(息子は単身赴任中)、小学校1年生のお孫さん、の4人でした。
旦那様本人は定年退職されており、付きっきりで奥様の介護にあたっていました。
息子さんのお嫁さんは仕事もしておられましたが、
料理や家事をしてくれるので家族のマンパワーもありました。
お孫さんは、ベッドに一緒に座ってアイスを食べていたのを思い出します。
ご本人はいつも穏やかな表情でした。話しかけると、答えは違えども笑顔で話してくれることが多かったです。
けいれん発作はないけれど、もしかしたら・・・
死期は近づいていました。
もしかしたら・・・と思ったので、
自宅のお風呂場のドアの付け替えをする住宅改修は行わないことに決めました。退院して2週間ほど経っていました。
住宅改修工事をしても、終わった時点で本人が入院、入所していたり、死亡している場合は介護保険が使えないので、工事費用を全額負担することになってしまうからです。
在宅生活がスタートして1か月と10日・・・自宅で亡くなりました。
徐々にできないことが増え、けいれんも出るようになってしまいました。
デイサービスを利用して週に1回、入浴に行ってもらっていました。
デイサービスでもけいれんが出始めなかなか入浴もできなくなりましたが
亡くなる3日前まで続けていました。
デイサービスに行っている間は
旦那様はリラックスして好きな趣味の集まりに出かけていました。
デイサービスはこういった介護者のリフレッシュの時間を与える側面もあります。
旦那様は、困ったときにSOSの電話をくださったり、
病状のことも理解があったことに加え、長年の闘病生活で、状況を少しずつ受け入れていたました。
最期は家族に囲まれて穏やかに旅立たれました。
旦那様は少しだけ涙をうかべていましたが、清々しさを感じました。最後まで献身的ということがぴったりだったと思います。
ご冥福をお祈り申し上げます。
では
~どうか介護、自宅療養のことで悩まないで~
退院したいけど言い出せない。退院に不安がある。介護のことで困っているなど、病気とともに生活していると、様々な悩みがあると思います。
介護のこと、自宅療養のこと、病院の看護師さんとの関わりこと・・・私で答えられることは何でもお返事したいと思います。コメントお待ちしています。