自宅のベッドで最期を過ごしたい! 病気があっても家で暮らしたい!在宅療養・介護のはなし

介護保険制度を利用し病気を抱えながらもご自宅で生活されている方も多くなっています。「最期は自宅のベッドで愛する人に囲まれながら逝きたい」をどうやったら実現できるか、ケアマネージャーとして訪問看護師として考えていきます。

【自宅に帰ろう体験談】脳にがん転移があった奥様を自宅へ連れて帰った旦那様の介護のはなし。①退院までの準備編

【在宅看取り】

 病気があっても自宅に帰りたい!

家で最期を過ごしたい!

退院したい!と思っている患者さまを1日でも早く、

ご自宅で安心して過ごせるようにしたい訪問看護師、ケアマネージャーです!

 

 

小林麻央さんの死を受け、今、在宅看取りについて皆さんと考えていただきたいと思っています。

 

市川海老蔵さんの「最期、ご自宅で送ってあげること」について

 

『とてもよかったと思います』と答えられています。

 

『病院とは違う・・・家族の中で家族とともに一緒にいられた時間は

本当にかけがえのない時間を過ごせたと思います。』

 

話されています。

 

今日は私がケアマネージャーそして担当した方の話をしたいと思います。

 

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病状

彼女はあるがんがお腹の中にでき、手術を行いました。

無事に手術は成功しましたが、数年後に再発しました。

再発は肺と脳にできました。

とてもきれいな奥様でお友達のエステティシャンに毎月エステをしてもらうような素敵な方でした。

当然、旦那様もとても紳士的な優しい方でした。

 

脳転移に対して、放射線治療を何度も繰り返していました。

肺の転移に対しては抗がん剤、手術を行いました。

闘病生活は5年になっていました。

 

 

私がお会いした時は

脳転移のため、けいれんが起きたり、うまく話をすることができない、

家族の顔がわからないなどの症状が再び出始めており、

脳の中枢部に近いところに腫瘍があるために、

治療は困難との判断でした。

全身の状態も食事もあまり食べられない、

動くと呼吸が苦しくなりやすい状態で衰弱が始まっていました。

 

 

退院の希望

 

旦那様は

「病院で治療ができないから家で過ごしたい。病院に通ってくるのも大変だから。」という希望がありました。

 

ご本人も家に帰りたがっているということでしたが、

脳転移の影響ではっきりとした希望を私は聞くことができませんでした。

 

 

要介護1

介護保険は以前に退院する前に申請しており、このときは要介護1の認定を受けていましたが、実際に介護保険サービスを利用しておらず、担当のケアマネージャーはいませんでした。

しかし、実際は衰弱もあり、自分でトイレに行ったり食事をとることがむずかしく、より介護が必要な状態でした。

ですから、認定の有効期限はまだありますが、区分変更の再申請をしていました。

認定結果は返ってきていませんでした。(申請から約1か月がかかります。)

気になった方は過去のブログをみてくださいね。

 

 

退院までの準備

病院の地域連携室の相談員の方と、病棟の看護師、医師と病状を確認し、

今回介護保険を利用しながら自宅での療養を提案されていました。

 

そこでケアマネージャーとして、私が担当させていただくことになりました。

 

病院であいさつをして、病棟の看護師や地域連携室の相談員さんから現在の状態を確認しました。

 

後日、(初回の面談から3日後)ご自宅の様子を見に、病院のリハビリの先生、福祉用具の担当者と一緒に行きました。

家屋調査というものです。

 

実際の家の様子をみて、

 

車から降りて家に入るためにバリアになる箇所があるか?

 

そのバリアをどうやってクリアしたらいいか?

 

から始まり、

 

 

ベッドをどこに置くのか?

 

トイレは無理なくできるか?

 

できないときは手すりを置くと可能になるのか?

 

車いすが通るスペースを確保できるのか?

 

お風呂に介助で入れるスペースがあるか?

 

浴槽をまたぐために手すりがあれば可能か?

 

食事を食べるのにテーブルはどうするか?

 

玄関から車いすを出すための介助はどうしたらいいか?

 

段差を埋めると、旦那様一人ででも外へ連れていくことができるか?

 

など・・・

 

細かく、細かく、生活動作を確認します。

 

福祉用具でレンタルする手すりやベッドがおけるかどうか、高さや幅を測ったりもします。

 

どんな風に生活するかをイメージしながら、旦那様と確認しながら行いました。

また、おそらく病状はもっと厳しくなり、

自分で起きたり、トイレに行けなくなることも想定して行いました。

 

 

準備した福祉用具と住宅改修

 

①電動ベッドと床ずれ予防のマット

・・・今後、起き上がったりすることが難しくなると予測し、食事がベッドでもとれるように

 

②トイレの手すり…つかまったりして立っていられる

 

③お風呂場に介護用の安定したお風呂用いす

 

車いす・・・主な移動は車いすを利用。

 

⑤浴室への扉の交換(住宅改修)・・・車いすでもお風呂場に行けるよう引き戸への変更

 

2日後、病院でカンファレンスを行いました。

参加者は、

ご本人、旦那様、

主治医、病棟看護師、

地域連携室の相談員、

訪問看護師、

デイサービスのスタッフ、

福祉用具の担当者、

リハビリの先生、

ケアマネージャー

とたくさん参加していただきました。

 

病状の説明と対応方法、外来への通院の予定、

自宅へ帰ってからの介護サービスの体制などをみんなで話しました。

 

そして退院日は次の週の月曜に決まりました。

 

ベッドや手すり、お風呂場の椅子は退院日の午前中に運んでいただきました。

車いすは病院で用意してもらいました。

 

いよいよ退院日です・・・・

 

長くなりましたので、続きは明日。では

 

 

 

 

 

~どうか介護、自宅療養のことで悩まないで~


退院したいけど言い出せない。退院に不安がある。介護のことで困っているなど、病気とともに生活していると、様々な悩みがあると思います。


介護のこと、自宅療養のこと、病院の看護師さんとの関わりなど・・・私で答えられることは何でもお返事したいと思います。コメントお待ちしています。