自宅のベッドで最期を過ごしたい! 病気があっても家で暮らしたい!在宅療養・介護のはなし

介護保険制度を利用し病気を抱えながらもご自宅で生活されている方も多くなっています。「最期は自宅のベッドで愛する人に囲まれながら逝きたい」をどうやったら実現できるか、ケアマネージャーとして訪問看護師として考えていきます。

【体験談】四肢麻痺の患者様から教わったこと。もしも自分が同じ立場だったらを感じる必要性。

【自宅療養・介護】

 

看護師となったのは十数年前のことです。

学生だったころ、新人だったころ・・・様々な失敗や悔しい思い、うれしい体験いろんなことを繰り返して、今の看護師としての自分がいると思います。

 

 

病気があっても自宅に帰りたい!

退院したい!と思っている患者様を1日でも早く、

ご自宅で安心して過ごせるようにしたい訪問看護師、ケアマネージャーです!

 

f:id:ienikaero2876342:20170608221031j:plain

今日は以前にも少しお話した、学生の時の患者様との関りから学んだことをお話ししようと思います。

 

 

体験より学んだこと

 

 看護学生2年生の時の実習で出会った患者様です。

彼女は60代の女性の方でした。頸部の腫瘤の影響、また手術の後遺症で

四肢麻痺がありました。(手も足も動かない)背もたれをたおすことのできる車いすに座り移動することがやっとで、ほとんどをベッド上で過ごしていました。

四肢の痛みもあり、今回の入院はその痛みのコントロールのためでした。

 

 私たち2年生は4回目の実習です。慢性期の学習でした。

実習では受け持ちの患者様をつけていただけます。

主に、その患者様について、

病気を勉強し、現在の身体の状況を考え、

必要な看護ケアを考え、考え、考え…

多量の記録をこなし、

(現在はパソコンでしょうから、コピペなどで楽することできるでしょうが、、、私たちは手書きの記録が主流でした)

 

看護ケアを実践しなくてはなりません。

 

週に4回は病院に行き、朝から夕方まで看護師さんの後ろについて

見学させてもらったり、

自分が考えてきた理由を説明して、看護ケアを実際にさせていただきます。

 

ですので、「今日の計画」を担当看護師さんに発表し、

どうして、このケアが必要なの?とか、根拠は??など鋭い質問に的確に答え、

この時間は何をするのか説明しないといけません。

担当看護師さんからのツッコミをクリアーできないと、

ただ、調べ物をするだけになったりします。

 

とっても忙しい看護師さんを捕まえて、計画を発表するだけでも

看護学生にとってはそれはそれは大変だったことを思い出します。

 

 

看護ケアは、コミュニケーションを十分に取りながら

患者様との信頼関係を築くことから始まります。

 

ある日の実習計画・・・

 

 

9:00 計画発表

9:30 担当患者様とコミュニケーション

10:00 バイタルサイン測定(血圧や体温を測る)

10:30 報告

11:00 回診の見学

12:00 休憩

13:00 学生カンファレンス

14:00 担当患者様とコミュニケーション

15:00 記録 報告

16:00 終了

 

これだけコミュニケーションの時間をとっているんですね・・・

コミュニケーションの技法なども勉強しながら、

どんな風に会話をしたり、体に触れたりしたらいいかなど、

細かい看護技法を学びます。

 

さて、

 

私とその女性の患者様ですが、

ちっともコミュニケーションが取れないでいました。

 

何を話しても、何をしようとしても(体温計を挟むだけ、血圧を測るだけでも)

とにかく拒否するのです。

顔を強く横に振るのです。

「やめてちょうだい」「さわらないでっていってるでしょ!」

「もうこなくていいわ」「いつまでそこにいるのよ」

とにかく顔を横に振るばかりでした。

 

あれだけ、実習時間のほとんどにコミュニケーションの時間に

なっているわけですから、

拒否されても、その場にいたり、

話題を変えたり、あの手この手を考えてこらえていました。

 

毎日のカンファレンスでは、どうやったら彼女と信頼関係が作れるのか、

受け入れてもらえるのか

なんて話しかけたらいいのかなど

たくさん話し合いをしました。

そのたびに泣いていたことを思い出します。

 

私は「どうして、わかってもらえないのか。看護師じゃなくて学生だからなのか」

「受け入れてほしい」「血圧を測らせてほしい」

など

そんなことをばかりを考えていました。

 

実習は約3週間もあります。

 

 

やっと気が付いた

 

実習もあと1週間となったときです。

相変わらずのやり取りでちっとも信頼関係を作ることすらできず、

血圧一つ測ることができずにいました。

 

 

「もういきなさい。船がみえるでしょ?あなたもそれに乗るんでしょ?私は無理だから。早く行きなさい」

 

その女性が私にそう言いました。

 

少し会話がおかしいとお気づきだと思います。

彼女は薬の副作用や環境のせいで

せん妄と呼ばれる一過性の精神症状がありました。

 

(無理だから・・・私に乗っていってほしいって思った)

無理だから・・・

無理だから・・・

 

どうして無理なのか・・・

 

彼女は四肢麻痺がありました。自分では起き上がることも座ることもできません。

 

やっと気づいたのです。

 

 

『私・・・自分のことしか考えてなかった・・・』

 

 

自分を受け入れてほしい・・・その気持ちだけでした。

 

ハッとしました。

 

この人の気持ち、思い、辛さに気づいていませんでした。

 

 

 

『もしも自分が同じ立場だったら・・・』

 

 

そんなことに気が付かなかった自分が情けなくなりました。

 

『よくわからない看護学生にケアされるのがいやでも払いのけることもできない。されるがまま。』

『寝返りすらできない状態で、一日中ベッドにいて、自分の思うようにご飯を口に運ぶこともできない』

 どんな気持ちだろう・・・

私だったらどんな気持ちだろう・・・

 

 

『生きていることがつらい』

『死んだほうがましだ』

『でも自分で死ぬこともできない』

『それは、精神的におかしくなっても仕方ない状態だ。』

 

何も話をしてくれない彼女の気持ちを想像することで

その後のやり取りで

自分も気持ちが変わり、彼女の反応が違うように感じました・・・

血圧を測らせてもらいました。

 

あっという間の3週間が終わります。

 

 

思いを重ねる・・・

これは想像でしかありませんが、

「もしも自分が同じ立場だったら」

を考えることで

もしかしたら重ねられることができるのかもしれません。

 

一瞬でもそれができるなら、

私たち看護師と患者様の信頼関係を良い方向へ向かわせてくれるのかもしれません。

 

この実習は本当につらくて、つらくて、

毎日、目を腫らしていたことを覚えています。

しかし今の看護師の私に必要なこと教えてくださった大切な方です。

心から感謝申し上げます。

 

 

 

~どうか介護、自宅療養のことで悩まないで~


退院したいけど言い出せない。退院に不安がある。介護のことで困っているなど、病気とともに生活していると、様々な悩みがあると思います。


介護のこと、自宅療養のこと、病院の看護師さんとの関わりこと・・・私で答えられることは何でもお返事したいと思います。下記へメール、またはコメントお待ちしています。

 

taeko.nishiyama@minehealthcare.co.jp